令和3年民法・不動産登記法等改正と相続法(2)

◎ 民法904条の3 (期間経過後の遺産の分割における相続分)[令和3年改正(未施行)]
前三条の規定は、相続開始の時から十年を経過した後にする遺産の分割については、適用しない。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
一 相続開始の時から十年を経過する前に、相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたとき。
二 相続開始の時から始まる十年の期間の満了前六箇月以内の間に、遺産の分割を請求することができないやむを得ない事由が相続人にあった場合において、その事由が消滅した時から六箇月を経過する前に、当該相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたとき。

1 趣旨
令和3年民法改正により、遺産分割を促進する観点から、相続開始時から10年経過後にする遺産分割については、原則として、特別受益に関する規定(民法903条)及び寄与分(民法904条の2)は適用されず、これらにより法定相続分を修正した具体的相続分による遺産分割を行わない制度が採用された。904条の3本文

2 例外
904条の3ただし書
[1号]相続開始の時から10年を経過する前に、相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたとき。
[2号]相続開始の時から始まる10年の期間の満了前6箇月以内の間に、遺産の分割を請求することができないやむを得ない事由が相続人にあった場合
その事由が消滅した時から6箇月を経過する前に、当該相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたとき。

(例)相続開始から10年を経過する直前に遺産分割調停等の申立てが取り下げられた場合

3 施行日等

(1)施行日

未だ施行されていない(令和3年6月30日現在)。

(2)適用関係

相続が施行日前に開始した遺産分割についても適用される。

経過措置(附則3条)

下記ⅰⅱのいずれか遅い時

ⅰ 相続開始時から10年を経過する時

ⅱ 施行時から5年を経過する時

より後にする遺産分割については、原則として(例外は民法904条の3一号二号)、特別受益及び寄与分に関する規定は適用されなくなる。換言すると、施行日から少なくとも5年は、特別受益及び寄与分を反映した具体的相続分による遺産分割を行うことが認められる。

(ご参考)
(特別受益者の相続分)
民法903条
1項 共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。
2項 遺贈又は贈与の価額が、相続分の価額に等しく、又はこれを超えるときは、受遺者又は受贈者は、その相続分を受けることができない。
3項 被相続人が前二項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思に従う。
4項 婚姻期間が二十年以上の夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対し、その居住の用に供する建物又はその敷地について遺贈又は贈与をしたときは、当該被相続人は、その遺贈又は贈与について第一項の規定を適用しない旨の意思を表示したものと推定する。

民法904条
前条に規定する贈与の価額は、受贈者の行為によって、その目的である財産が滅失し、又はその価格の増減があったときであっても、相続開始の時においてなお原状のままであるものとみなしてこれを定める。

(寄与分)
民法904条の2
1項 共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする。
2項 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、同項に規定する寄与をした者の請求により、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、寄与分を定める。
3項 寄与分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができない。
4項第二項の請求は、第九百七条第二項の規定による請求があった場合又は第九百十条に規定する場合にすることができる。

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